日本では、道路公団という組織が高速道路建設を行い、高速道路の料金を徴収している。しかし、世界を見てみるとアメリカにもイギリスにもドイツにも、公団など存在せず、料金は無料となっている。
例えばドイツでは、1930年代に世界最初の無料の高速道路網であるアウトバーンが完成した。アウトバーンは国民の移動時間を飛躍的に短縮させ、地方を結びつけて国民経済を急速に発達させた。ドイツはワイマール共和国の破綻からわずか5年でヨーロッパ最強の国家として復活した。
第二次大戦中に連合軍最高司令官としてドイツでアウトバーンの威力に衝撃を受けたアイゼンハワー大統領が、アメリカにも全国無料の高速道路網であるインターステートの建設を開始したのが1956年だ。全国の交通アクセスを飛躍的に改善して地方分散を進め、大都市での過密、交通事故、大気汚染などを減少させることを目的とした。
インターステートはアメリカの黄金時代をもたらした。郊外に住宅や企業やショッピングセンターを立地することが可能になり過密と過疎が大幅に解消した。輸送・生活コストが大幅に低下し消費が増えビジネスは拡大した。鉄道網のない西部、南部の諸州が大発展し新しい産業が興った。
70年代までのアメリカの経済成長の4分の1がインターステートの建設によってもたらされたといわれる。
現在ではフォーチュン500の大企業でニューヨークに本社を構えるのは1割にも満たない。上場企業の7割が依然として東京に立地せざるを得ない日本とは大きな違いである。
世界の先進国では、公団という組織なしに高速道路を無料にすることによって経済を発展してきている。それなのに、日本では、依然として公団組織が保たれ、料金は世界一高い水準で徴収され続けている。
昨今、EUの拡大などにより、全く税金を払わない外国の大型トラックがアウトバーンを痛めるから、ドイツがそうした重量車両への課金を検討したり、ロンドンの一部で混雑緩和のために中心市街地(一般道路)への流入に課金(ロードプライシング)を導入していたりする。しかし、米英独という日本が経済モデルとしてきた国では、無料が基本であることを押さえておく必要がある。そして、過密と過疎の解消という20世紀から積み残されている課題の解決のためには、日本では高速無料化が不可欠だ。