日本で高速道路の無料化が実現したときの経済効果は、戦後の米国に比べてもはるかに早く大きくなるだろう。
まず、すでに高速道路の主要部分が完成しているため無料化すれば即時に生活道路として使用できる。米国並みに出入り口を3キロメートルに一つの割合で、2500カ所程度に増設すれば、出入り口までの時間が大幅に短縮され、一般道路との接続が改善する。無料化されればもちろん料金を徴収しなくなるため、料金所での渋滞自体がなくなる。今ある道路システム全体が便利に使いやすくなる。新しい道路を作る必要性も大幅に下がり、財政負担が減る。
高速道路の無料化が実現したときに日本で最大の経済効果が期待できるのが木更津を中心とした千葉圏である。木更津市だけ見ても、その経済効果は巨大である。木更津の地価が浦安の半分まで達した場合の経済付加価値を大雑把に試算しただけでも8兆6200億円に達する。千葉県南全体、あるいは対岸の神奈川および東京を含めた東京湾岸全体の経済効果は巨大である。首都圏の不良債権問題の解決の切り札になるだろう。
また、県単位で見たときに最大の成長率を示すと思われるのは、人口約80万人の徳島県である。神戸から80キロメートル余り、四国八十八箇所とすばらしい山と海と川を持つ徳島県は、観光・リゾート地域になる。また、農林水産業やハイテク産業も飛躍的に伸びるだろう。リゾート地のトップ・ブランドである軽井沢も大きく発展するだろう。高速道路の無料化が実現すれば、さいたま市や長野市は通勤圏になる。これらのように、無料化による各地域での潜在的な経済効果は大きい。
そして、2兆5000億円という現在の通行料金の負担がなくなることは、高速道路の無料化による経済効果の氷山の一角に過ぎない。なぜなら、実は、現在、乗用車交通の12分の1しか高速道路は使われていないためだ。高速道路の使用率が低いのは、高くて不便だから使用しないドライバーがほとんどだからだといえる。これに対して料金を価格に一部転嫁できるトラック輸送では高速道路の使用率は50%に達する。
こうした潜在的な高速道路需要の経済価値をはかるために、山崎事務所では、東京、大阪、福岡など主要都市で街行く人々にアンケートをお願いし、「もし高速が無料になれば使いたい路線の料金に通行回数」を乗じて算出し、隠れた高速道路の需要を集計した。平均値は、なんと年間一人あたり約89万円であった。ドライバーの世帯数を乗じれば年間33兆円、料金負担の13倍にも上る。さらなる精査が必要ではあるが、高速道路無料化の経済への乗数効果が高いことを示している。もちろん、法人や事業所の収益も大幅に向上し物価も下げられる。