高速道路を無料化するということは、必ずしも、車だけの社会を作るというわけではない。むしろ、ドイツのように車社会のTPOをわきまえた、人と共生・共存した社会作りを提唱したい。
ドイツで強い印象を受けるのは、ミュンヘンに見られるように、古い街の中心では、車の進入は規制されているところが多いことだ。そして、自動車道の脇には、自転車専用道路や歩行者専用道路が設けられている。都市部では、人が歩くことを中心に街が作られ、都市と都市の間はアウトバーンと呼ばれる無料の高速道路で早く移動することができるようになっている。しかも、交通事故率は、一般道と比べると、高速道路は比べものにならないくらい低い確率となる。
日本の高速道路には、料金が高いほかに、決定的な欠点がある。新幹線型であることだ。降りられないから沿線はなかなか発達しない。
そこで、他の先進国と同じように、日本の高速道路をいまの新幹線道路から生活道路に変えていくことを提案したい。
まず高速道路をタダにする。それだけではない。出入口を大幅に増やして一般道路との接続を格段によくすればどうだろう。今は10キロに一つしかないが、アメリカ並みに3キロに一つ作れば全国に新しく1800の新しい出入口ができる。無料化で料金所がなくなれば工事も簡単だ。
高速道路が国道や県道といった一般道路と多くの出入口で結ばれれば、日本の道路システムの輸送力と利便性は全体として飛躍的に向上する。高速道路という大動脈と一般道路というほかの血管が一つの血液システムとして働き出すだろう。これまでよりはるかに効率よく目的地に行ける。もちろん、高速料金はタダである。また高速道路の渋滞の三分の一を占める料金所渋滞も当然なくなり、壮大な時間と資源の無駄づかいと環境汚染の元凶がなくなるわけである。
そこへ、電車、バス、貨物の連携を強めると、「モータルシフト」と呼ばれる現象が起きる。
例えば、トラックと鉄道の規格を統一することで、圧倒的な輸送力を持つ鉄道によって遠方の地方から都市部へ荷物を運び、そのままトラックに積み替えれば人手もガソリン代も大幅に削減することが可能となる。
それに加えて、空港との連結もスムーズになれば、地方がアジア諸国に対して直接的に貿易をすることも可能となる。交通手段が広がることで、観光立国としての下地も整い、飛躍的な成長を遂げることは間違いない。